夏休みも終わりに近付いて、少しだけ涼しい夜のこと。
「そういえば……今年はまだ理々奈の浴衣姿、見てないな」
なんて、兄さんが言うものだから、
「……今、着る?」
と訊き返した。
当然、兄さんは驚いたけども、
「……着るだけじゃつまらないだろう」
と棚の上から買ったばかりと思われる花火を取り出した。
そうして浴衣――もちろん、兄さんが作ったもので――を着付けていた時、気がついた。
どことなく、上機嫌な兄さんの顔。
兄はたまにそうやって、ときどき子供っぽい。
「花火なんて、何年ぶりだろうな」
残り半分というところで、兄さんは口を開いた。
前にやったのはいつだったかと、色とりどりの花火の火を見つめた。
ああ、そうだ。小学生の最後の夏に、自分がせがんだ時だ。
思い出された昔の光景と、今の光景を重ねてみる。
周りは変わっているけれど、本質は変わっていない。
私は花火を見ていて、兄さんは花火よりも私を見ている。
何故かそれが、嬉しかった。
「花火って……こんなに綺麗だったかな」
「理々奈は、どんな花火が印象に残ってるんだ?」
また一本、また一本と花火の花が散る。
記憶の中にある花火の散り方とは、少し違った気がした。
「もっと、寂しそうなの」
「寂しい、か……」
袋を見れば、もう後数本しか残っていなくて。
どうして綺麗だと思うと、こうも早く散ってしまうのだろうと。
「兄さん、これは?」
「ああ、それはそっちじゃなくてこっちを持つんだ」
不意に、昔との光景が被った。
前にも同じことをされたのかもしれない。
そして、その細くて千切れそうな花火の花が開いた。
「あっ」
小さくて、丸い光。
私が覚えていた花火。
「線香花火、だろう。理々奈が印象に残っていた花火」
「うん」
パチパチと小さな花が咲く。
ずっとこのままがいいのになぁ。
「理々奈」
「うん?」
「線香花火は、目を逸らすと散ってしまうんだ」
突然言われたものだから、思わず花火に視線を戻した。
私も、兄さんの顔が見たいのに。
不意にそう思った瞬間、
「あっ!」
じゅっ、と音を立てて花火は散ってしまった。
「……うそつき」
「あはは。理々奈が気を散らすからだよ」
思わず兄さんを睨んでしまった自分に、どこかデジャヴを感じた。
前もこんな風にしていたんだろう、と。
私はたまにそうやって、ときどき子供っぽくなる。
「……また」
「ん?」
「また来年も、やりたい……花火」
「ああ。そうだな」
「その時は、嘘、つかないで欲しい」
「……すまん」
ウソツキは甘美です(謎
ト○ビアが萌えるネタをくれるとは
思ってもいませんでした
「うそつき」
そうだよGOLIさん。次は浴衣リザを!!(待て
2005/08/24 幸ゆきな