その日お店番をしていたら、見慣れない人がやってきた。
 若い男の人。格好からして、サーファーか何かやってそうな感じ。
 さっきからじーっと花を見てる。

「何かお探しですか?」
「あ、いや……ひまわりってお店で売ってるんだなぁって」
「花屋ですから」
「そっか!」

 その人はパァっと見た目よりも少年っぽい笑顔を見せた。
 なんかデジャヴ。初めて見る人なのになぁ……。

「ひまわり、お好きなんですか?」
「うん、すっごく好き!
 俺さ、誕生花がひまわりなんだよね」
「ひまわりの花言葉の中に“輝き”ってあるんですよ」
「へぇー!」

 うーん、確かにひまわりって感じするなぁ。
 ずっとニコニコしてて、なんか輝きがお日様みたいだし。
 麦わら帽子被ってひまわり持ったら、すごく絵になりそう。

「よくダチには“お前は太陽みたいな奴”って言われるんだけど、
 アニキには“ひまわりみたいだよね”って言われるんだ」
「そう言われるのお好きなんですね」
「大好き!」

 満開のひまわり笑顔。
 都会にこんな人がいるとは思わなかった。

「じゃあ一本買ってこうかな」
「ありがとうございます!」


「はい、どうぞ」
「ありがとう! 今度アニキと一緒にくるよ。
 俺、タローって言うんだ。太陽の太におおざとの方の郎。
 君は?」
「えっ。は、はなです。ひらがなで、はな」
「花屋のはなちゃんかぁ。可愛いね」

 あ、またデジャヴ。
 同じこと、同じような笑顔で言われたことある。

「それじゃあ、お仕事頑張ってね」

 そう言ってタロー君はひまわり笑顔のまま、手をぶんぶん振りながら行ってしまった。

「お仕事かぁ……サトウさんも今頃お仕事頑張ってるのかなぁ……」

 そういえば、サトウさんだ。さっきのデジャヴ。
 サトウさんとタロー君、ちょっと似てるんだ。
 今度サトウさんが来たら話してみようかな。

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ちなみにひまわりが誕生花の日は8月15日。