「お前ってさ、よくこんな場所で働いてられるよな」
「本が好きですから。祖父もそうだったと聞きますし」
「祖父ねぇ……会ったのか?」
「……会ってみたい気もしますが、ややこしくなりそうなので」
「真面目だな」
「いえいえ」
「こっちに来てから誰か利用者は?」
「なしですよ。やっぱり、こうも古いと若い人には駄目みたいで」
「こっちは図書館なんて利用する奴すくねぇからなぁ……」
「少し、寂しい気もします。書物たちはみんな読まれたがっているのに」
「でも、こうも古代の書物が大量にある図書館が存在なんて、世の学者たちが知ったら大騒ぎだろうな」
「分かりませんよ。デタラメだと言われるかもしれません」
「そう悲しそうな顔して言うなよ。本が湿るぞ」
「すみません」
「ところで、足らないもんは見つかったか?」
「……いえ、まだ……自分でもよく分からないんです」
「パーティ出てもダメなのか……だったら恋の一つぐらいしてみれば?」
「恋なんて早々にできるもんじゃありませんよ」
「でも、女性の利用者に対しての口調はキザで口説いてるようにしか聞こえねぇよ、お前」
「そう、ですか? そんなつもりは、ないんですが」
「やっぱりフランス生まれは違うね〜。ユーリだってあんなの素では言わねぇぜ」
「褒めてるんですか? けなしてるんですか?」
「両方だよ。……じゃあ、そろそろ帰るぜ。次のパーティの候補者リスト作んなきゃならねぇんだ」
「大変ですね。久々にたくさん話せて楽しかったです。お仕事、頑張って下さい」
「お前もな」



「……神様が来た後って、珍しい利用者さんが来ること多いんですよねぇ……」

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