「馬鹿め。何故あんな女を助けようとした?
こんな場所に現れなければ、死なずに済んだものを」
「…忘れ物を…した気がしたんだ…」
「忘れ物?」
「ああ…」
―何かは分からないけれど…―
Forgot recollection
「お前の名前はMA-0。
そしてその完成品がこの俺、MA-10だ」
僕と同じ姿をしたマックス―MA-10の拳が腹部に深く食い込み、僕の体に激痛が走った。
「ぐわぁっ!!!」
「ゼロー!!!」
ミスティの叫び声。同時に僕の目には、ここに来る前に移ったあの光景。
悲しそうに微笑んでから去っていくミスティの姿が。
「今のは…!」
いくつかの光景が過ぎった。
球体のものの前で何かをしようとしたいた。
笑っている人物を僕はメカードと呼んでいた。
呆れ顔をしているあの時会った人と、親しげに会話をしていた。
誰かと誰かが映っている写真を見つめていた。
『うぅ…う…』
「あれは…」
気付けば、僕の目の前には野原が広がっていた。
夕方なのか草の色は綺麗な朱色に染まっている。
よく分からないけど、酷く懐かしくて、切ない。
―この光景は…僕の記憶の中にあるものなのだろうか…?―
失ってしまった僕の名前。本当の僕。
ミスティに助けられてから見ているあの光景も、今のこの光景も、
全て本当の僕のもの?
まだ…よく、分からない。
『うぅっ…うぅ…』
―…!―
ふと僕の目に映ったのは、
しゃがみ込んで泣いている小さな少年の後ろ姿。
それは、さっき僕が助け出した少年で。
『マックス!』
僕のことを“マックス”と呼んだ、とても懐かしい響きの名前の少年…――
彼が…何故ココに?
―…っ!―
まるで頭痛のような痛み。次々に駆け抜けていく様々な光景。
そこには全てこの少年が映っていた。
そう、彼がココにいるのではなく、僕は前から彼を知っている?
僕は彼の兄の仇“マックス”…?
でも、僕を始末しようとしているのも“マックス”…。
―僕は…本当にマックスなのか…?―
突然、光景が切り替わる。
何かが上に向かって動いた。僕はそれを目で追った。
それは青空に向かっていっている、いくつもの丸い風船。
―これは…風船…ボム?―
なんで分かったのだろう、この風船がボムだなんて。
涙が出そうな想いが苦しい。
振り返れば、そこには
『えへへへ♪』
『 』
明るい笑顔で僕のことを見上げる少年。
僕に向かって言った聞こえない言葉が、一気に響き渡る。
――そうだ。
『ミスティがいてくれたら、僕も嬉しいし』
『え…!』
会話が聞こえた後に映った、悲しげなミスティの笑顔。
彼女は、僕が好きな人で。
『けっ、相変わらず真面目な奴だな』
『しかし…』
親しげに話し合った、信頼できる相棒の呆れ顔。
彼は、僕の親友で。
『えへへへ♪』
『 』
この子は…僕の一番大切な人。
一時も考えないことはなかった、僕の弟。
――…シロボン
「――僕は… 」
「ファイア…くぅあ…!」
「シロボン!」
「死ねぇ!!」
今なら、はっきりと。
「何ぃ!?」
「ゼロ!!」
「あれは!?」
みんなが僕のことを凝視している。
「ファイア…ボム!」
僕の手から作り出された、淡く勢いのある炎のボム。
「あっ…あのボムは…!!」
完全ではないけれど、これだけははっきりと。
やっと見つけた、僕の忘れ物。
「ボンバー…シュートォ!!!」
僕の名前は マイティ
あとがき
一応擬人化。うん(何
41話見たその日に書いた妄想の塊(ぉ
兄ミスなようでさりげなく兄白ですが。
兄ちゃん最高、ビバ広樹ぃ!シロボン可愛い、金朋萌えぇ☆(何
うん、っていうかジェッターズ最高!!!
2004/11/21修正