DJキャラ小ネタSS1
01 セム、鉄火、リリス 【バイクと寿司】
02 識(+ユーズ) 【だからってあたらないでください】
03 セムリリ 【四月馬鹿】
04 鉄火&慧靂(セム←鉄前提) 【どんな感じ?】
05 鉄火&ファーボ(セム鉄前提) 【イメチェン?】
06 識視点セム鉄 【彼は見守るだけ】
07 ニクサイ(+英利、デュエル) 【とある夕飯での出来事】
08 慧靂、鉄火、彩葉 【成績】
09 リリ→セム(セム鉄前提) 【糸車】
10 ユズナイ 【酒と泪と…】

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⇒セム、鉄火、リリス 【バイクと寿司】

「思ったんだがね、鉄火君」
「は、はい?」
「君はなんでそういう格好をしてるんだい?」
「あ、これですか?」
「ああ。少し気になってね」
「やっぱり服飾デザイナーとなると気になるんですか?」
「いや、高校生は普通、校則でバイクの乗車は禁止されてると思うが」
「そ、そういうことですか……これは気分だけ浸ってるんです」
「ほう?」
「俺、将来ちゃんと寿司握れるようになったらバイクで出前したいんですよ!
 勿論出前用のバイクじゃなくて、もっとカッコイイやつで!」
「まぁ、出前とかはともかく、バイクを乗ってみたいと思うのは分かるな。私も高校の時に少し憧れたからね」
「ですよね! それに、ライダースーツやゴーグルってつけてるだけでもカッコイイじゃないですか! ほら、茶倉みたいに」
「茶倉君、ねぇ……」
「? なんかあったんですか?」
「いや、気にしないでくれ」
「そういえば、セムさんはバイク乗らないんですか?」
「私は――
「兄さんはいつも車よ」
「……」
「……」
「ってリリス!? いつの間にそこにいたんでぇい!?」
「……今」

⇒識(+ユーズ) 【だからってあたらないで下さい】

 まるで鬼神のように鬼気迫るオーラ発してますよ、師匠…。
 ああ、言わんこっちゃない。
 だから今日、師匠と一緒にいたくなかったんだ。
 な、何やってるですか師匠!!
 六甲おろし歌いながらロッテ●アに突撃なんて逮捕されるだけですって! しかもなんですかそのバッド!!
 いや、だから落ち着いてくださいってば師匠!ってどこいくんですか!?
 ああ、ダメだ。このまま今の師匠放置したら明日の新聞に載りかねない…!
 いくらタイガースファンだからって…。
 え、今店の前で優勝騒いでた人と喧嘩始めた!?
 ホント、大人になってくださいよ師匠!!
 ああ…ごめんよ…パパ、今日は家に帰れそうもないや…。

⇒セムリリ 【四月馬鹿】

 春うらら、にはまだ遠いが桜は既に満開。
 久々の兄妹水入らずで過ごす昼。
 ROOTS26の春の新作はどうなるか楽しみだとか、きっと皆に花見にでも誘われるだろうなとか、聖奈が話すのを理々奈はうんうんと相槌をうつ。
 そんな時ふと聖奈の目にカレンダーが見えた。
 理々奈が変えておいてくれたのだろうか。既に四月のカレンダーへと変わっていた。
 そうか今日は四月一日か、と思わず芽生える悪戯心。

「なぁ、理々奈」
「うん?」
「今度、お見合いすることになったんだ」


 がしゃん。

「り、り、理々奈!!??」


 不意に理々奈の手元から落ちたティーカップ。
 そんなことよりも聖奈が慌てた理由は

「それ……ホント、なの……?」

 最愛の妹の瞳からぽろぽろと流れる大粒の涙。

「ち、違……!! 嘘だ、嘘!!」
「ウソ……」
「そ、そう、嘘だ! きょ、今日はエイプリルフールだろ!?」

 すぐに涙は止まったものも、目じりにはまだ涙が残っていた。

「兄さん」

 あたふたと慌てる聖奈を見て理々奈は立ち上がった。

「……馬鹿」

 そう言って理々奈は呆然とする聖奈に背を向けて自分の部屋へと引きこもってしまった。



 この後、聖奈は理々奈の部屋の前で散々土下座することになる。

⇒鉄火&慧靂(セム←鉄前提) 【どんな感じ?】

「なぁ、慧靂」
「ん?」
「お兄さんがいるってどんな感じ?」
「はぁ?またなんで」
「いや、俺一人っ子だから、どんな感じかな〜って」
「ふ〜ん…兄貴ねぇ…」
「士朗さん、優しい?」
「全然!! それどころかしょっちゅう人のもんとるわ、からかうわ…いい加減にして欲しいぜ全く!!」
「いなくなって欲しい?」
「……そこまでは思わねぇけどよ…やっぱ、いなくなると、喧嘩相手がいなくて寂しいっつーか……」
「へぇ……」
「これがオーナーとリリスぐらい年が離れてたから全然違ってたかもしれないかもな」
「セムさん……」
「あ、お前、もしかしてオーナーが自分の兄貴だったらいいなとか思ってたりする?」
「……」
「……鉄火?」
「セムさんは、さ……俺のこと、弟みたいに思ってるのかな……」
「……」

⇒鉄火&ファーボ(セム鉄前提) 【イメチェン?】

「なぁ、テッカ」
「ん?」
「これ、何?」
「何って、段位不合格リザルトの服」
「ちょっと待テ! ってことハ、オレが着るのカ!?」
「そうに決まってるだろ。こんな小さい服、達磨だって着れないぜ」
「だからってそれハ……オイ! ちょっと待――」


「結構似合うじゃねぇか!」
「オイ、テッカ……この格好って……」
「セムさん意識してみたんだけどどうだ?」
「……まぁ、うん……そうだよな……」

⇒識視点セム鉄 【彼は見守るだけ】

 珍しく夕方頃にセムがウチの店に来た。
 取引先の帰りに偶然通りかかったから、と言っていた。
 普段は来るとしても大体師匠やケイナが来ている時間帯だから、こう二人で話すのは久々だ。
 別にこれといって趣味が合うものはないが、年が近いから気楽に話せる。
 そう言った意味では親しい友人だ。
 しばらく話していると自動ドアが開閉する音が微かに聞こえた。
 賑やかな声が二人こちらに近づいてくる。
「あれ、セムさん?」
「オーナーがこの時間にいるなんて珍しい……」
 鉄火と慧靂だった。多分一緒にデラをするためにきたのだろう。やはりセムがいるのに少々驚いてる様子。
 加えて鉄火は嬉しそうだ。
「あ、セムさん一緒にデラやりません?慧靂、最近俺が絶対できない曲ばっかり選ぶんですよ!」
「その方が腕も上がるだろうが!」
「別に私は構わないよ」
 セムが了承すると、鉄火はまた嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「相棒を取られてしまったね」
「別にいいんだけどな。鉄火、めちゃくちゃ嬉しそうだし」
「分かりやすい子だよ」
 セムと並んでデラをする鉄火の姿は、後ろ姿にも関わらず嬉々としているのがはっきり分かる。
 あの年で純粋で真っすぐな子も珍しい。
「オーナー、昨日俺が言ったから俺達がいるかどうか顔出したのかな」
「何か話したのかい?」
「昨日バイトの最中に、明日ここに鉄火と来るって話したんだ」
「……なるほど」
 多分慧靂の予想は当たっている。
 ただ慧靂には可哀想だが、“俺達が”ではなく“鉄火が”いるかどうかが理由だろう。
 実際、セムは鉄火を見た瞬間なんだか嬉しそうな笑顔を見せた。もちろん鉄火と慧靂は気付いていないようだが。
 けれど二人が来る前に一緒に話していたセムに誰かを待っていた様子は見受けられなかった。
 店に来たのも笑顔を見せたのも、恐らく無意識。
 本人も気付いてないんだろうな。
「識、何笑ってるんだ?」
「微笑ましいというか、青春してるなぁというか」
「???」
 何故かこのゲーセンは色んな恋模様で溢れている。

⇒ニクサイ(+英利、デュエル) 【とある夕飯での出来事】

「……」
「ニクス、どうしました?」
「……」
「あ、醤油デスね。はい」
「……あれ取ってくれ」
「のりたまはまだ駄目デス。まだおかずが残ってマス!」
「じゃああれ取ってくれ」
「チャンネル変えるなんて意地悪デス!今エイリが見てるんデスから!」

「ってやりとりしてたんだよ。デュエルとしてはどう思う?」
「……なんか日本映画の熟年夫婦みたいだな」
「なんか俺だけ居候って感じなんだよ……」
「無理に入るとニクスに睨まれるぜ」
「うぅ……」

⇒慧靂、鉄火、彩葉 【成績】

 今日も鉄火と待ち合わせて識のゲーセンでデラ中。
 なんだかんだで連日来てたり。
 ふと唐突に思ったことがあった。
 鉄火は高校生、しかも三年生。となると勉強はどうしてるんだろうか。
 きっと稼業の寿司屋を継ぐらしいから受験とはあまり関係ないかもしれないが、やっぱりテストはおっかない。
 俺はなめてかかったため赤点ギリギリになって親父にしごかれたことがあったり。
「やっぱりいたいた!鉄火センパーイ!」
「彩葉?」
 突然現われたのは彩葉だった。
 鉄火に用事があるってことは学校関係だろう。
「数学の宿題で分からないところがあるんやけど……リリちん、今日はお店の方が忙しくて……教えてくれへん?」
「別に構わないぜ」
「え、鉄火、お前数学教えられるのか?」
 鉄火には悪いが、どうしても数学が得意そうな顔には見えない。国語とか歴史とかは得意そうだが。
「鉄火センパイ、話してへんの?」
「そんな話すようなことじゃ……」
「慧靂、聞いたら驚くと思うわ〜」
 何やらこそこそ話すと、彩葉が何故か得意気な顔をして俺を見た。
「あのなぁ慧靂。鉄火センパイな、学年次席なんよ」
「へぇー……って嘘ぉ!?」
「ホンマやって。なぁ、センパイ?」
「次席って言っても英語を考えなければだろ」
 鉄火は非常に困った顔をしていた。
 まあ確かに鉄火は自慢話なんかするような性格じゃないからな。
「でもその口振りだと英語はダメみたいだな」
「なんで数学できるのに英語できへんの?」
「う、うるせぇ!日本人は日本語さえ喋れればいいじゃねぇか!」
 まるでムキになった時のファーボみたいにじたばた。少しは気にしてるみたいだ。
「慧靂、教えてあげへんの?」
「俺は喋るのはできるけど、文法とかは教えられないぞ」
「せやな。慧靂、頭良さそうな顔してへんもんな」
「そんなこと言う口はこの口かー!!!」
「いひゃい!いひゃいお、へれひ〜!!」

⇒リリ→セム(セム鉄前提) 【糸車】

 くるくるくるくる。規則的に回る糸車。
 兄さんが何か作るために使っていたミシンの糸車をずっと眺めていたこともあったあの頃。
 その頃から比べれば私はもう大人になっていた。正確にはまだ大人ではないけれども、あの時よりも多くのものを、外部のことを見れるようになった。
 だから、だからなのだろう。内部がよく見えるようになったのは。
 兄さんをそういう感情の対象として見始めたのは高校に入ってから。例えそれがお客であろうと兄さんが誰か女性と話していると苛立ちを覚えた。そしてそれは兄さんが、私に誰か男性が言い寄ってくる度に怒るものと同じだと思っていた。
 誰にも邪魔されない。兄さんは私だけのもの。でもたまには妬いて欲しいからわざと別の男性が好きなように見せている。
 そう思っていたのに、意外なところからそれは切り崩された。

「こんにちは…」
「やぁ、鉄火君。いらっしゃい」

 鉄火。私と同じ学校に通う一つ上の男の先輩。
 私も兄さんも彼と出会ったきっかけはゲームセンターにある一つのゲーム。
 最初はただの先輩でゲーム仲間。それだけだったはずなのに。
 鉄火は何故か兄さんに惚れていた。本人は誰にもバレていないと思っているでしょうが、私だけじゃなくみんなにバレバレ。何故惚れたのか理由はいくらでも思いつくが、本当にどうしてだかは分からない。
 でも、もっと意外だったのは兄さんの方だった。
 兄さんが今まで一緒にいた私ですら見たことない笑顔をするようになった。私にでも他の女性にでもなく、鉄火に対して。
 そこで私は気付いてしまった。兄さんが私に対してムキになっているのは“取られたくない”という感情ではないことを。
 兄さんはまだ“私が兄さんがいないとやっていけない”と思っているのは百も承知。でもその裏に隠れたものを、推測ではあるが知ってしまった。
 “兄さんは私がいないと駄目”なのだ。
 自負ではない。幼い頃に両親を亡くし二人で生き抜いてきたという環境が、または私の生まれる前に兄さんが生きてきた環境が作ってしまった哀れな絆の糸。
 兄さんは私がいないと自分の存在を確立できないのだ。
 そんなにも大きく私が兄さんの中で占められているのは嬉しい。けれども、私が望んでいる愛され方はそんな愛され方じゃない。
 私は兄さんの支えになりたいわけじゃないの。一緒に並んで歩いていたいだけ。例え一人の女と見られなくても、対等の存在で在りたいの。
 あの笑顔を見ていると私は、鉄火が兄さんを“一人で歩ける”ようにしてくれるような、そんな気がした。
 もしそうしてくれるというのなら、私は喜んで二人を応援するだろう。

 ただ、私は意地悪だから。
 兄さんの心まで彼に譲ったりするつもりはない。

⇒ユズナイ 【酒と泪と…】

 なんで私はこんなところに、こんな場違いな格好をしているのだろうか。
 すっごく煙草臭い。
 当たり前。隠れたお店らしくて店内は狭い。その上喫煙席しかない。
 すっごく油臭い。
 当たり前。鶏や揚げ物などの串焼きの店だもの。
 なのに、なのに私は久々にROOTS26以外で買った服、しかも露出の少ない清楚な感じのする白いワンピースを着て、大人しく座っている。
 出て行く時にアルアに「お姉ちゃんすっごく可愛い」って言われたのに。
 なんだか色々踏みにじられた気がしてイライラしてきた。
 そもそも、なんでこんな状況に置かれているかというと、原因は目の前の男だ。
「俺の奢りなんやし、遠慮せんでもええんやで」
 そう言ってこいつは本日三杯目のビールに手をつけ始めた。少しは空気を読んで欲しいものだ。

 事の発端は彼、ユーズがゲーセンで突然話しかけてきたことだ。
 デラをする直前だったし、また勝負でも挑まれるかと思ったのだけれど
「明日の夜、暇やったりせえへん? ええとこがあるんや」
と誘われてしまったのだ。
 かなり驚いた。この間の勝負の分はつい先日奢ってもらったばっかりだから尚更だ。私だけでなく、周りのみんな――特にセリカはこっちが申し訳なく感じるぐらい驚いていた。
 勝負の件がないとなると、どう考えてもこれはデートの誘いとしか考えられなかった。
 だって普通はそう考えるでしょ?
 しまいにはユーズが帰ったあとにアルアや理々奈に頑張ってだの励まされてしまった程だ。
 当然ながら見栄を張ってしまって、みんなの前では着ないような服を着てお洒落をして。
 それなのに、それなのに。

「……はぁ……」
「どないした? 具合でも悪いんかい」
「……違うわよ」
「……なんか泣いてるんか?」
「泣いてない!」
 そういう気遣いはするくせに、なんでそっちには気付かないのだろう。この分だと、セリカのアタックも全く気付いていないのかもしれない。なんだかセリカが可哀想に思えてきた。こんな男に惚れるなんて。
 私も人のこと、言えないのだけれども。
「ホンマ、ここの店のたれはうまいんや。見つけた時はええとこ見つけたって思ったねん」
 ずっと見てたけど、今日のユーズはやたら飲み食いしてると思う。もう既に四杯目いってるし。こっちはまだ二皿ぐらいしか食べてないのに。
「……どこ行くかぐらい教えてくれてもよかったじゃない」
「そないなことしたらつまらんやろ!」
 ぎゃははと親父くさい笑い方なんてしてる。酔ってきたか、ついに。
 もう、嫌になっちゃう。
「だったら別に私じゃなくて、士郎とかケイナとか誘えば良かったじゃないの」
「嫌や」
 嫌、と聞いて思わずきょとんとなってしまった。
 ユーズは食べ終わった串を振りながら、うんうんと一人で頷いて言った。
「アイツらに教えたら、一人で飲みにいけるとこが少なくなる」
「……」
 よく分からないけど、ユーズはみんなとあんなに仲良くしている割には時々一人でいる。
 そりゃ、誰だって一人になりたい時はあるだろうけど、ユーズの場合、なんか違う気がして。
 どうしてだか、分からないけど。
「じゃあ私ならいいわけ? それに、一人で飲みに行くつもりなら今日も一人で来れば良かったじゃない」
「誘いたかったんや。ナイアを」
「……は?」
 素っ頓狂な声を上げた私なんか無視して、ぷはーっと親父臭い声をあげてユーズはビールを飲みきった。
「それ、って……どういう意味?」
「知らん」
「し、知らんって!?」
「ナイアのこと誘いたかったから誘っただけや。それだけじゃ、文句あるんかいな?」
「も、文句はないけど……」
 思わず目を逸らしてしまった。やだ、今、自分、絶対顔赤くなってる。
 もう一度ユーズを顔を見ようとちら見した。やっぱりお構いなしに焼き鳥を頬張ってる。
 やっぱり馬鹿にしてるんじゃないかと疑いたくなってきた。
「ならそれでええやないの。にゃあも食べてや。うまいもんがまずくなる」
 何よ、さっきからガツガツ食べてるくせに。
「……にゃあ」
「……何よ」
 完全に酔った時、何故かユーズは私のことをにゃあと呼ぶ。ただ単に呂律が回らなくなってるだけなのか、悪ノリしてるのか。
「……いや、何でもないねん」
「……」
 言いたいことあるなら言えばいいのに。何かあるなら、話してくれればいいのに。
 なのに、絶対に話さない。
 普段は誰となく気軽に話すくせに。お節介なぐらい人のことに首突っ込むことだってあるくせに。
「……何でもあらへん」
 ある程度まで近づくと突然距離を作る。
 理由は分からない。でもそういう時のユーズは、なんだかとても遠くにいる気がする。それも、誰にも手が届きそうにないぐらい遠くに。
「……生、ジョッキ大で」
「にゃあ?」
 すごく不器用だ。ユーズも、私も。
「遠慮、しなくていいんでしょ?」
「おう」
 だったら、付き合ってあげようじゃないの。
「お金、足らなくなっても文句なしよ」
「わかっとる。わかっとる」
「なんなら飲み比べる?」
「今からか!? そらきっついねん!!」
「あら、勝負に挑まずに逃げるわけ?」
「むっ……後悔しても知らないで!」
 今は、この時間を大事にしようと思う。
 今は、まだ打ち上げずにいおうと思う。
 そして、いつかユーズが今言えないことを打ち明けてくれる日がくるのであれば。

 その時は私も打ち明けようと思う。